2025年 03月 28日
仕事を辞める理由|円満退社のための伝え方と注意点
厚生労働省が調査した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、2022年の転職入職者数は約497万人です。これは、常用労働者数の9.7%にもあたる数字であり、2022年だけで1割近くもの労働者が転職していることを示しています。現代において転職は以前に比べて珍しいものではなくなってきていますが、どのような仕事を辞める理由で転職活動を始めたかをまとめたデータがあるので抜粋して紹介します。
【転職活動を始めた理由(単一回答)】
| 1位 | 2位 | 3位 | |
|---|---|---|---|
| 2023年 転職者 全体 | 給与が低かった(11.5%) | 職場の人間関係が悪かった(9.1%) | 会社の将来性、安定性に不安があった(8.0%) |
| 2022年 転職者 全体 | 給与が低かった(12.5%) | 職場の人間関係が悪かった(9.3%) | 仕事内容に不満があった(6.6%) |
| 2021年 転職者 全体 | 職場の人間関係が悪かった(9.9%) | 給与が低かった(9.3%) | 会社の将来性、安定性に不安があった(6.9%) |
このように、仕事を辞める理由として多いのは「給与・待遇への不満」「人間関係の悪化」「会社の将来性への不安」などが上位を占めています。しかし、これらの理由をそのまま退職理由として伝えることは、円満な退職のためには必ずしも最適とは言えません。
仕事を辞める理由を伝える際の基本的な考え方
ポジティブな表現を心がける
退職理由を伝える際は、ネガティブな表現を避けてポジティブな表現を心がけることが大切です。例えば、「給料が低い」「人間関係が悪い」「仕事がつまらない」といったネガティブな理由をそのまま伝えると、上司や同僚との関係が悪化し、退職までの期間が居心地の悪いものになってしまう可能性があります。
代わりに、以下のようなポジティブな表現に言い換えることを検討しましょう:
「培った経験を活かし、より専門的な分野に挑戦したい」
「業務をこなす中で興味を持った新たなジャンルで、自分の力を試したい」
「かねてよりの夢に改めて向かっていきたい」
このように、未来志向で前向きな理由を伝えることで、上司や同僚も「頑張れ」と送り出してくれる可能性が高まります。
お詫びと感謝の気持ちを伝える
どのような理由で退職するにしても、これまで一緒に働いてきた上司や同僚に対して、お詫びと感謝の気持ちを伝えることは非常に重要です。退職することで職場に一定の負担をかけることになるため、その点についてのお詫びと、これまでの指導や協力に対する感謝の気持ちを伝えましょう。
例えば、退職の意向を伝える際には、「突然のご報告となり申し訳ありません」と切り出し、最後に「これまで多くのことを学ばせていただき、本当に感謝しています」と締めくくるなど、相手への配慮を示す言葉を添えることが大切です。
一貫性のある理由を準備する
退職理由は、上司だけでなく、同僚や取引先など様々な人に伝える機会があるかもしれません。その際、人によって異なる仕事を辞める理由を伝えてしまうと、後々トラブルの原因になる可能性があります。
例えば、上司には「家族の介護のため」と伝え、同僚には「給料が低いから」と本音を漏らしてしまうと、その情報が上司の耳に入った場合、信頼関係が損なわれる恐れがあります。そのため、退職理由は一貫性を持たせ、誰に対しても同じ説明ができるように準備しておくことが重要です。
仕事を辞める主な理由別の効果的な伝え方
実際の退職理由は様々ですが、それぞれの理由に応じた効果的な伝え方があります。ここでは、一般的な退職理由ごとに、円満退社のための伝え方の例を紹介します。
給与が理由の場合
給与への不満が退職の本当の理由である場合、そのまま伝えると「お金のためだけに働いている」という印象を与えかねません。また、会社側から「給与アップを検討するから」と引き止められる可能性もあります。
効果的な伝え方の例:
「現職では様々な経験を積ませていただき、多くの貴重なスキルを身に付けることができました。感謝しております。しかし、将来的にはより安定した生活を実現するために、現状以上の経済的な見通しが必要だと感じるようになりました。また、以前評価面談の際に具体的な業績を挙げながら昇給について相談したところ、会社の方針や現状から昇給は難しいとのお返事をいただいたため、退職という気持ちに区切りがつきました。今後は経済的な見通しと自己成長のバランスを考えたうえで新しい環境でチャレンジをしたく、誠に勝手ではございますが、退職させていただきたいと考えています。」
人間関係が理由の場合
職場の人間関係が退職理由である場合、そのまま伝えると「協調性がない」「自分勝手な人だ」と思われる可能性があります。また、「部署を変える」「異動する」などの条件で引き止められることもあるでしょう。
効果的な伝え方の例:
「入社以来多くの経験をさせていただき、心から感謝しております。特にプロジェクト管理のスキルを磨く機会を与えていただいたことには感謝しきれません。しかし最近、自分のコミュニケーション能力をさらに向上させたいと強く感じるようになりました。一度、部内でのコミュニケーション改善を目的とした話し合いを提案し、実施させていただいたことがございますが、現在の環境ではこれ以上の改善が難しいと感じております。このことから自己成長をさらに深められ、異なる背景を持つ人々と協働できる環境で力を発揮したいと思い、退職を決断いたしました。」
キャリアアップが理由の場合
キャリアアップを理由に退職する場合は、比較的ポジティブな理由として受け止められやすいですが、具体性がないと「単なる言い訳」と思われる可能性もあります。
効果的な伝え方の例:
「入社以来多くの経験をさせていただき、心から感謝しております。特にプロジェクト管理のスキルを磨く機会を与えていただいたことには感謝しきれません。しかし最近、自分のキャリアについて深く考えた結果、新たな挑戦を通じてさらに成長したいと強く感じるようになりました。具体的には、以前に担当したプロジェクトでのリーダー経験を通じて、自分のマネジメント能力をもっと追求したいと思うようになりました。この会社での経験が自分の成長の土台を築いてくれたことに感謝しつつ、その土台をもとにより高いステージに進み、キャリアアップを図りたいと考えています。現在のチームに迷惑をかけることには心苦しさを感じますが、これが私自身の成長につながると信じております。新たな挑戦の機会を求めて退職を決意したこと、ご理解いただければ幸いです。」
体調不良が理由の場合
体調不良が退職理由である場合は、率直に伝えることが基本ですが、具体的にどのような支障があるのかを説明することで、上司の理解を得やすくなります。
効果的な伝え方の例:
「これまでの間、様々な経験を積ませていただき、心から感謝しております。しかしながら最近は体調不良が続いており、思うように業務に集中できない日が続いています。先日の健康診断でも改善が必要との指摘を受け、自身の健康管理を見直す必要性を強く感じました。またプロジェクトに取り組んでいた際、体調不良のためにチームに迷惑をかけたことがあり、このような状況を改善するために自分自身の健康にしっかりと向き合い、体調を立て直すことが最優先だと判断しました。そして慎重に検討した結果、一度仕事から離れて体調回復に専念したいと考え、退職を決意しました。急な判断となり申し訳ございませんが、ご理解いただけましたら幸いです。」
円満退職のための準備と注意点
退職時期を見定める
一年を通して、退職しやすい時期と退職しにくい時期があります。退職しやすい時期の例としては、4月や10月といった人事異動のある時期や会社の閑散期です。
4月や10月といった人事異動のタイミングであれば、あなたが会社を辞めたとしても、他部署の人を異動させることで、あなたの代わりを補えます。また閑散期であれば、全体的な業務が落ち着いているため、一人の社員が辞めたとしても周りの社員に大きな影響を及ぼさないでしょう。
ほかにも、大きなプロジェクトに携わっている場合は、そのプロジェクトが終わってから会社を辞めることを伝えることで、引き継ぎ業務などが少なく済むためおすすめです。
このように退職時期を見定めて会社を辞めることで、周りから嫌な顔をされずに円満に退職を進められます。
引き継ぎの準備をしておく
会社を辞める際は、様々な仕事で引き継ぎ業務が必要となります。そのため、自身の退職を上司に納得してもらうためにも、あなたが辞めた後もこれまで通りに業務を進められるように徹底した引き継ぎをすることが大切です。
たとえば、自分にしかわからないような業務がある場合、業務マニュアルを事前に用意しておくなどです。このことから会社を辞める際は、引き継ぎ期間をしっかりと設けて退職の準備を進めることで、上司も安心してあなたを会社から送り出せます。
退職後のキャリアプランを明確化しておく
会社を辞める理由を伝える際は、退職後のキャリアプランを明確にしておくことをおすすめします。というのも、キャリアプランが明確でないまま会社を辞める場合、「衝動的に会社を辞めるのではないか」と思われてしまい、引き止められやすくなるからです。
一方で退職後のキャリアプランが明確であれば、しっかりとした信念があって会社を辞めるということが伝わり、「引き止められない」と感じるでしょう。
このように上司に退職の意向について納得してもらい「引き止められない」と感じてもらうためにも、退職後のキャリアプランを明確化しておくことが大切なのです。
企業が考える「辞めて欲しくない人材」の特徴
高い専門性を持っている
チームワークに優れている
自己成長意欲が強い
会社への貢献度が高い
リーダーシップがある
上司から信頼されている
会社の価値観に合っている
顧客と良好な関係値が築けている
たとえば、専門性の高いスキルや経験がある場合、顧客との良好な関係値を築けている場合などは、その人が会社を辞めることが会社の損失に直結するため、引き止められる可能性が高いです。
そのため、これらの人は会社から引き止められることを前提とし、引き止められても退職する方向に進められる準備と対策を考えておきましょう。
まとめ
会社を辞めようと考えている人の中には、仕事を辞める理由について悩んでいる人もいますよね。たしかに、会社を辞める理由によっては上司から引き止められる可能性もあるため、しっかりと考えておくことが大切です。
これから会社を辞めることを上司に伝えようとしている人は、本記事で紹介した会社を退職する際のポイントや円満退職の準備や注意点などを参考にし、円満退職できるように一つずつ準備を進めていきましょう。
仕事を辞める決断は人生において重要な岐路となります。仕事を辞める理由は人それぞれですが、後悔のない選択をするためにも、十分に検討し、準備を整えた上で行動することをお勧めします。そして、次のキャリアステップに向けて、前向きな気持ちで新たな挑戦に臨んでください。





